Not Yet ~あの映画の公開はいつですか?~

主に国内未公開&未発売の映画の話など

「Only You」:ジョシュはかわいい(定期)

お久しぶりです。

 

「いいおしりの日」記事から早1年近く。「Durrells」の記事も「Baptiste」の記事も、日本で観られるようになったけどBBC版歌わない「レ・ミゼラブル」の記事も上げていないのにこの映画のことを上げておきます。鉄は熱いうちに打ちます。

「Only You」です。こういうタイトルはどんどん検索し辛くなるので困ります。

IMDbこちら

 

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と、いうことで(?)、またしてもジョシュ・オコナー氏のお尻を観てしまいました。

事前情報無しではありましたが(教えてよ!?)、まぁそうだろうとは(ちょっと)思ってました。だってジョシュだもん。

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あらすじ

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グラズゴー。大晦日の夜、パーティの帰り道にエレナ(ライア・コスタ)とジェイク(ジョシュ・オコナー)は偶然知り合い、そのまま一夜を共にする。すぐにエレナのフラットで同棲を始め仲良く暮らす9歳違いのふたりだったが、エレナが妊娠を望んだことから様々な現実に直面する。

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書いてみれば、やたらにあっさりですが、この映画の主題は男女の未婚のカップルにおける「不妊治療」、特に「体外受精(IVF)」です。

ふたりの間にそれらをどう置き、どう向き合い、そして時を経て望む結果が出ない場合にいつ、どう「諦める」のか。そのことは、他の出来事と同じようにふたりの関係にどう作用するのか。

 

紹介記事で「恋愛映画ではかつてないテーマを取り上げている」というのを読みましたが、そういえばそうでしたっけ?

周りであまりに良く聞く話題だし、掲示板でも賑やかになりがちなテーマだったからでしょうか。どうにも既視感がありましたが。

 

 

そこそこ長くなってきた自分の人生を振り返るに、こと妊娠と出産に関してはその取扱いに関して、常に他の話題以上に当事者性を求められる気がしています。

「あなたにはわからない」「あなたにはわかるはずもない」という実も蓋も無い言葉と供に轟音で鼻先に下ろされるシャッター。

もはや自然妊娠は出来ない年齢の非経産婦であるワタシがこのテーマの映画について何か述べる事にはちょっと勇気が入る…のかもしれないけど他の作品と同じように普通に取り扱います。形而上学の神を召喚しつつ。

 

この物語では“ふたりの子供が欲しい”からの不妊治療なので、当事者(主語)は常にふたりであり続けなくてはいけなかったはずなのに、いつの間にか、産む性が負う精神的・肉体的負担の大きさと不均衡が相まってエレナひとりだけの戦いのようになってしまいます。しかも望む結果が出ない上に、医学的な結論は女性不妊。ジェイクは根気よくやさしく寄り添ってくれるけれど、孤独はエレナを混乱させ、ひたすらに「こんなはずじゃなかった」方に全てが転がってしまいます。

 

本作の脚本と監督は女性です。

優秀な女性を評する時の「女性ならではの視点」という紋切り表現がクッソ馬鹿ばかしくて陳腐で大っっ嫌いなのですが、(その個人の視点が秀でている、と評するのが正しいはず)当事者性という観点だけ鑑みると、このテーマをヘテロカップルで男性の監督が描くというのはなかなかのチャレンジになるでしょう。

(んー個人的にはマイク・ミルズ監督、ミランダ・ジュライ脚本主演で明るく、でも示唆的に扱って欲しいかも。あくまでフィクションでおふたりのお子さんとは関係なく)

 

主人公と同じ産む性、女性である監督の視点は、十分な当事者性と供に終始遠慮なく主人公のそれに被せられていたように感じました。ざっくり斬ると映画的都合がなにもかも女性視点に固定して完結していました。

エレナ(35)は中の人同様カタルーニャ人。童顔で小柄のラテン美人、スタイルもよく年齢にコンプレックスがないわけでもないけれど若々しい。(元旦から働いているけど)定職もある。フラットも持ち家。同性、同年代から見た時に親近感だけよりもう少し羨望が加えられたヒロイン設定。

そして偶然のめぐり逢いをするジェイク(26)は若さの割に落ち着いた、「若いけど馬鹿じゃない」というまさに理想の年下彼氏。これまた高ポイント。皆に置いてきぼりだった恋バナも存分に出来てお友達にも鼻高々。そんなお友達もまるで絵に描いたような普通の人ばかり。ああ、この設定の捻りの無さ!!トレンディドラマかよっ!?(叫ぶひねくれ者)

 

この映画の視点は常にエレナ(とその二人羽織の監督)にあり、喜びも苦悩も主人公の一人称で語られ続け、表現の中立性や客観性には乏しい。直感的に子どもが欲しくなったことも忘れて主人公はひたすらに悩み、俯瞰することも出来ず、もう自分の足元しか見ていない。手を差し伸べる恋人の手すら見えない。

対してのジェイクにも一応パートはあって迷いや苦悩も表現はされているけど、なにしろ対主人公比1:9といったところ(繊細な演技の巧いジョシュなのに…とジリジリ...)。

さらに2019年にこのテーマを取り扱っているにしては主人公たち人物像以外にも設定上の「原因(困難)」と「(短期的な)結果」、対する主人公たちの「検証」「考察」「再考察」が古くないですか?

もがいているうちに、ふたりの愛を末永くするための「手段」だったはずのものが最初から「目的」であるかのように錯覚される。でもその「手段」は昨今現れたものではないので(何で今?)感が拭えなかったのです。

なにより一番気になったことは、この映画って観客を女性に絞ってしまってないか?という点。

女性による女性の為の映画...?(意図的にしているならまぁまだしも…かなぁ)

ふたりが「子供」を作ることを意識して、「恋人」「親」「家族」に抱いていた固定概念を取り払って再定義して、ふたりの間の愛情の本質を見直す、と言いたかったのはわかるんだけどまた他の古い固定概念に落ち着いた感が拭えないし、視点が偏ったことでどうにも今年の映画としては表現が弱いんじゃないかというのが、極めて率直な感想です。

そもそもエレナに共感出来なければ114分観ても(う、ううむ…)となりそう。

 

でもね、男の人こそこういう映画観た方が良いんじゃないかなー。

ホルモン注射のしんどさとかタイミング法とかリアルだったし。なによりジェイクはチャーミングでクレバーな「素敵彼氏」の見本帖なので。※生活力は問わないものとする

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オフショットはいつもちょっと傾いてるけど、中の人の育ちが良くて聡明でのほほ~んとしたところと、女慣れ(他の言い方が見つからなくてさーせん)が満喫できます。

劇場公開は諦めていますが配信とかで字幕欲しいです。会話が多くて早いので。

本体£10.67, 送料£2.53、中8日で届きました。早い!

 

追記)

ジェイクが元々住んでたとこのフラットメイトのあの女の子は元カノというか既成事実有りだよねー。ああいう小ネタが好きです。