Not Yet ~あの映画の公開はいつですか?~

主に国内未公開&未発売の映画の話など

「Mapplethorpe: Look at the Pictures」

 

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ドキュメンタリー映画のDVDを輸入しました。

写真家ロバート・メープルソープの大回顧展に合わせて作られたものです。今後日本で彼の展覧会があれば観られるかもしれませんが、無修正無編集でなければ何の意味も無いと思うので、少しでもこの名前にご興味あれば是非。

 

彼の写真が好きなのでかなりいろいろ知ってるつもりでしたが、全くそんなことはなく、何より驚いたのは彼の元恋人を含む近い関係者がほとんど健在で、社会的に成功した現役の芸術関係者だと伺わせる近況と健康的な生活が垣間見れたこと。エイズはロバートは連れ去ったけれど、NYカルチャーシーンの何もかもを失ったわけではなく、また彼の影響はそこかしこに残っていて、礎を築いただけの過去の遺物ではなく今のNYの一部であること。

作品も大量に紹介されます。物議を醸した、というか彼が物議を呼ぶために世に送り出した数々の作品の圧倒的な美しさ、唯一無二の力強さは映像というフィルタ越しにも伝わり、本当にしみじみと不世出の人だと。

破天荒で挑戦的なクリエイターとしての半面、身近な人に見せていた顔、特に弟さんに(そんな無茶な...(^^;)という勝手なことを言いだしたかと思えば、いよいよ死期が近づいてきた時の撮影では弟さんに頼ったりする人間味がとても良かった。弟のエドワードさんはよく似ていて、こちらもとてもハンサム。ロバートが存命ならこんな感じに歳を取ったのかな?もっと鋭い雰囲気かな?なんて思ってしまった。

これはポラロイドですが、先に弟さんをモデルに同じ構図で撮ったものが紹介されます。杖の髑髏にピントを合わせるためのテスト撮影ですね。

Gillian Wearing: The Art of Everyday Illumination – Border Crossings  Magazine

編集がいろいろ気が利いていて、奇才であるかのようにはせず、夭逝したことも感傷的過ぎる方に寄ることなく、学術的分析にも寄らずバランスが良いのです。死語直ぐの回顧展が猥褻だと会場によっては縮小や中止に追い込まれて、自称良識人みたいなおばあ様が「こんなもの!」と詰った後にサザビーズでは当時の最高額でオリジナルプリントが落札されたというエピソードが続いたり、回顧録の作家さんの女性の喋りがpで始まる単語連発でもあくまで真面目に清々しいほどあっけらかんとしてたり。

 

全編大充実ですが、一番おおっ、と思ったのはロバートはパティ・スミスチェルシーホテルに越したあたりで顔つきがグッとより凛々しく、挑戦的になったところでしょうか。もう天下を獲る準備は出来たとばかりに。

 

引き続きUKからの送料は手段如何に拠らずお高くて他のDVD2枚と併せて44.51GBPでした。まぁそれでも送料込み2000円程度、dispatchから約1週間で届きましたが、ECMSから日本郵政に引き継がれる仕組みで届き、UKを出る時点の宛先シールにはDVDとしか書いていないのに日本でECMSが通関引き受けした時点で日本語宛先のシールが貼られて??あるいは予め出荷時に表裏に貼ったのか、そこのはDVDのタイトルがバッチリ書かれていて(や、やめて...)と思いました。