Not Yet ~あの映画の公開はいつですか?~

主に国内未公開&未発売の映画の話など

(番外編)"transformative"であること、その裸体

11月4日は「いいおしりの日」だったそうです。11(いい)0(お)4(し)り、字余りってことでしょうか?それに間に合うように書きたかったのですが、ちょいと立て込んでおり今頃上げることにします。

このエントリはいつもの「いち作品に対する感想・考察」ではないので特別編です。ざっくり言うと、Josh O'connorくんというひとりの俳優さんが作中でどう脱いで、それが作品にどういう効果をもたらしているのかを自分の視点でまとめてみたくなりまして。とてもいいおしりなんです。

 

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作品中にセクスィーなシーンがあるとして、そこだけ強調するのはどうなのか、という葛藤は少々あります。それはある人が某作に関して「肉欲」という表現を繰り返し使って評していて、(んー。これを切り口に鑑賞したら「期待外れ」とか言われてしまうんじゃないだろうか、あの良作を・・・)と違和感を感じたからです。

でもよく考えたらこのブログも同じ。よく考えるまで気づきませんでした(テヘッ)。自分に刺さったところを好き勝手に論じて、よしんば興味を持って観てもらえたら良いな、と思っているところはその人と同じ。

(とは言え、あの言葉選びのセンスの無さはやっぱり看過出来ないのです。彼とはきっとお友達にはなれないわ)

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英国俳優たるもの、シェイクスピア劇を嗜むのは当然として、ゲイ役、女装、全裸までが基本と何処かで聞きました。なるほど、確かに。有名俳優各位におかれましては、皆大抵全部こなしている気が・・・。

 

そんな中、「God's Own Country」で電撃的に知った若き名優Josh O'connorくんの主演作での脱ぎっぷりについては前述の通り。彼は当たり前(のよう)に全裸をこなしています。(それどころか!)

その演技力で、作中の彼の裸はその役の裸になります。恥や見栄を脱ぎ捨てた時、社会通念や世間の束縛を超えた時、その象徴と作品に説得力を与えるものして・・・だと良いのですが、その辺りは監督と脚本の力量に拠って優劣が。どうにも裸が勿体ないものになっているものもあり・・・ってそれは先にも書いた作品ですが、思い出すだにモヤっとするので、3つの作品別に彼の裸とその効果/効能を勝手に比較してみることにします。

 

1990年生まれのJoshは28歳。185㎝の長身で色白、やや痩せ型で、恐らくですがジムでビルドアップ/パンプアップする趣味はないらしく、マッチョではない極めて普通の身体をしています。体毛も楚々としていて、ワタクシ的には28歳にしてはちょっと少年みというか無垢さすらあるように思うのですが、28歳の紳士の裸体にお詳しい方いかがでしょうか(誰?)。

JoshはLoeweの2019SSのコットンキャンバスバッグなどLoeweなのに皮革でない新シリーズ「Eye Loewe Nature」のイメージキャラクターをしています。以下2枚はその宣材写真です。

 

「josh o'connor loewe」の画像検索結果

 

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映画のキャンペーンや各種インタビューで見る彼はいかにもお育ちが良い好青年で、聡明で明るくチャーミングですが、作中で見る「彼」には普段のJosh O'connorは片鱗もありません。

彼はインタビューで、俳優として常に「transformative」であらんとしている、と答えていました。まさに。いかようにも変形、変容できる存在。だからこそ、(体質的に痩せやすいであろう点は置いておいても)イメージが固定しないような、ある意味中庸的な容姿を保っているのでしょうか。また、「transformative」には「変革的な、斬新な」という意味もありますね。

例外はドラマ「Durrells」でしょうか。実在の作家、ロレンス・ダレル役でありながら、さも宛書のように、普段の彼を彷彿とさせる自然でチャーミングな表情やふるまいを見せてくれます。インタビューで「実際のラリー(ロレンス)に寄せようとしていない」と言っていました。ゴールデンタイムのファミリードラマですので、Joshはお尻は出していません。代わりにヘンリー・ミラーという世紀の脱ぎ要員がS3で登場します。

何作品かを観てしみじみ、彼の演技、その身体表現、その裸体は彼自身とそれを観る者に変革をもたらしてくれるだけの力量があると思いました。日本未公開作ばかりですが!(叫)

 

というわけで、以下、自分の視聴順に彼の裸の在り様(ありよう)についてそれなり大真面目に所感を。

※ネタバレあり〼

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「God's Own Country」

裸度☆☆☆☆☆

裸の衝撃度☆☆☆☆

裸の重要度☆☆☆☆☆

 

衝撃度は、どういう映画か判った上で観始めましたが、早々にお尻と行為が生々しく登場してそれなりに驚きましたので☆4つ。

ゲイメンズにコメントさせるとこの☟シーン(のおしり)が大変に「セクシーだった」とのこと。ほう、なるほど。

Johnnyは畜運車の中で食堂で出会ったばかりの青年と荒々しく「気ばらし」に励みます。白くて薄くてすべすべした綺麗なおしりですがひんやりと冷たそうで、そこに冷酷に力が籠められて、その行為はなかなかに乱暴で粗雑かつ妙に手馴れていて、いつも彼はこうしているのだろうという説得力があります。

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ところがGheorgheが現れると、ふたりの佇まいとその体格差から、Johnnyの裸はとても頼りなく見え、これまでの彼の孤独がますます浮き彫りになるようでした。

やがてGheorgheと心を交わすことで、Johnnyにとっての行為がただ抜くためのf*ckから対話としてのmake loveに明確に切り替わります。Johnnyは朝の光に一糸も纏わず、身も心もGheorgheに曝け出し、委ねることを覚えた彼の裸は体温すら取り戻したかに見えます。

この体格の違い。ふたりの肌はほんのり紅潮しています(お風呂だし)。首から上の日焼け、手や腕の小さな傷はふたりが肉体労働者である証です。

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作中何度も裸が出てきますが、この作品、実はこのふたりの行為の肝心なところは(ほぼ)見せていないという!肉欲おじさん良く見てね!まさにtransformative!

 

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 「Hide & Seek」

裸度☆☆☆☆☆∞(それどころじゃないです)

裸の衝撃度☆☆☆☆☆∞(マジでビビりました)

裸の重要度☆☆

 

作品に関するムムムな点はこの作品のエントリで触れておりますのでもう繰り返しませんが、急に脱ぎだすわアレするわコレするわとにかく忙しい裸(たち)でした。とととtransformativeではああったかも・・・。

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中国語圏(といっても多分本土はダメでしょうから台湾か香港?)でのタイトルが「性愛四人遊」だったと今知ってちょっとウケています。巧いけど、これもまた肉欲映画って訳でも無いんだよなー。

 

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 「Bridgend」

裸度☆☆☆

裸の衝撃度☆☆

裸の重要度☆☆☆☆☆

 

Bridgendはウェールズの地名で、この地域で相次いだティーンの自殺という実話を元にした作品です。2013年にTVドラマに、2015年に映画になっていて、以下は映画の話題です。

作品紹介記事を書いていないのにおしりの話をするのもどうかと思いますが、この作品でもJoshのおしりが拝めます。というか若者みんなが森の中のダム池を社交場にしていて裸で泳ぐのでガンガン脱ぎます。もう驚かないわ!

いくら演技派の彼でもティーンエイジャーの役は・・・と思っていたのですが、当時のリアル彼女が相手役ということもあってか、これがなかなかどうして。

 

保安官の娘、転校生サラは神父(ウェールズ聖公会?と思ったのですが浅学故自信無し)の息子ジェイミーと恋に落ちます。次々に自ら死を選ぶ仲間たちの謎が解けない中、ふたりの恋は誰からも祝福されません。それでもふたりは森の中で初めて愛を交わします。

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ジェイミーは小さな町で不良ぶっていますが、性格は内向的で繊細な少年です。この時服は汚れた足を洗ってもらうために脱いだのですが、そのまま彼女と初めてキスをして、おずおずと服を脱がして体を重ねます。そのたどたどしい仕草、生っ白い裸。

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ふたりが立ち去ったあとのマットレスには赤い血の跡。サラは、そして多分ジェイミーも初めてだったのです。

そうか、あの微妙な無垢さは「童貞の裸」に変容したのね(勝手に納得)すごいよJosh!

 

以上、いいおしりの話でした。

 

追)

微妙に「Bridgend」がどういう作品なのか、どう感じたのかを紹介していないところがワタシの感想でもあります。なんというか・・・惜しかった。ラスト以外は結構好きなところ多いです。あと、借りて視聴してますのでこのくらいで~。(お借り出来て良かった♡ありがとうございました!)