Not Yet ~あの映画の公開はいつですか?~

主に国内未公開&未発売の映画の話など

(間もなく公開)「Call Me By Your Name」桃源郷の物語

間もなく「君の名前で僕を呼んで」の邦題で公開される作品です。DVDが届いたので公開に先行して感想をあげてしまいます。何回か直す予定ですが取り急ぎ。

以前のエントリの通りで原作既読済、それどころか図らずも映画のラストシーンまでをSNS経由で知っていました。我慢できず、出来心でYouTubeもいろいろ観てしまいました(←コレいけない)。

その上既にこの映画には続編が準備されているとのことで、今、日本以外のSNSはその話題で持ちきりです。そんな状況であと1か月半待たされるのはもう本当に無理でした。

 

鑑賞前は感想の一部として原作と細かく比較することを考えていましたが、鑑賞後の今はそれにはあまり意義を感じなくなりました。

先日、ジェームズ・アイボリー翁(89)はこの作品で本年度のアカデミー「脚色賞」を受賞しています。超一流のシェフが最高の素材で最高の料理にしたのです。原作を至上として映画を論うのはなんだか無粋に思えています。

 「call me by your name」の画像検索結果

この映画は、1983年に北イタリアのどこかにあった(かもしれない)桃源郷の物語でした。

美しい映像は最初のタイトルクレジットから、まるでその頃に制作された、少し古い映画を観ているような色調と表現で綴られます。

エリオにとって特別なひと夏、オリバーがいる時間と空間、そのかけがえの無さと眩しさを、観客はその美しい景色と共に一緒に体験します。逃れられない別れの、そのせつなさまでも。

 

ネタバレしますが、さすがにラストシーンそのものは書きません。

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別荘の前にタクシーが停まる。到着した新しい居候がパパと挨拶をしているのをガールフレンドと一緒に窓から見下ろすエリオ。面倒なだけのはずが、オリバーと対峙したエリオははにかんで明らかに高揚する。

部屋が隣同士で、バスルームは共有だと説明している間にオリバーはベッドに突っ伏して寝てしまう。夕食に呼びに行っても同じ。

翌朝、朝食の席でエリオはオリバーを観察する。胸に光るユダヤの星のネックレス。

パパが例年の居候に吹っ掛けるapricotの語源についての話題を、オリバーは卒なく返すどころか、皆の予想を超える知識の深さであっさりと上書きする。これはエリオを含むこの一家3人にとって過去最高得点での合格であり、オリバーはこの夏休み中有効なあらゆる免罪符を早々に、鮮やかに獲得してしまう。

エリオの両親や家の手伝いの人たちだけでなく、街の人々ともどんどん仲良くなるオリバー。彼の持つ煌きは周囲の老若男女をくまなく魅了し、エリオを驚かせ、楽しませる。

側にいても、姿が見えなくてもエリオはオリバーが気になって仕方がない。

プールサイドの他愛の無い会話。サングラスで表情を隠しても、嬉しくて持ちあがってしまうエリオの口角。

エリオがギターでさらりと弾いたフレーズが誰のどの曲であり、その編曲が目指すテイストやユーモアまでも理解して、遠慮なくダメ出しまでするオリバーを、エリオは鍵盤で様々に迎え撃つ。弾む指先。

オリバーの持ってきた本、水着、彼のベッド。それに触れることは、オリバーの肌に触れること。

***

 

原作のエリオはオリバーが「自分の恋の相手にふさわしいか」「自分の初体験の男にふさわしいか」を彼(と)のいろいろな行動からまず観察や検証をしていました。可愛らしいことに、その時点でもう十分恋が始まっているのですが、本人はそのことに途中まで気づきません。

映画のエリオは原作よりさらにいたいけで繊細な少年に感じられました。

それは彼の揺れる心情がナレーションされることは一切なく、そのすべてがティモシー・シャラメくんという稀代の美少年(本当は既に青年)の表情とふるまいで極めて繊細に表現されていたからです。

映画のエリオは、まさに電撃的に、そして自覚的に恋に落ちてしまいます。

描かれないアメリカでの暮らしとは比較出来ないので、少なくともイタリアでのバカンス中には、となりますが、エリオにとってオリバーは、初めて出逢った、自分のしていることを完全に理解できる知性と美意識を持つ他人だったのでしょう。予想外に現れた知的な刺激と肉体的な魅力に、エリオは抗いません。強く惹かれながらエリオが感じる少しの不安は(彼は自分を好きじゃないかもしれない)という、多分に幼さからくるものだけです。人当たりの良いオリバーが自分に見せる態度が特別なのか、特別であればそれは恩師の息子、家主の息子であるからなのか。それとも自分が期待する理由で特別なのか。 

その不安はオリバー本人にあっさり否定されます。彼は

「良きホストとして振る舞う必要はない」とはっきり言ってくれるのです。属性ではなく、個人として自分に対峙しろ、と。

しかもこれはエリオが、前の晩にオリバーと仲良くなった女の子の話題を振った流れで出てきます。付き合っちゃえばいいじゃん、と言うエリオのお節介を否定してさらに言うのです。

エリオ自身は男であるオリバーに恋する自分を一切否定していませんが、オリバーは女(の方)が好きかもしれない、と直接探りを入れているのです。女の話題に乗ってこなかったことはエリオを安心させたはずです。

 

***

ふたりで出掛けた先にあった記念碑の由来を説明するエリオの博識をオリバーが褒めると、エリオはオリバーだけに、オリバーだから知って欲しいのだと繰り返しながら、自分は何も知らないのだと言う。何を知らないのかも、分かっているはずだと。

会話を中断したオリバーを、エリオは誰も来ない秘密の場所に連れ出す。

草に横たわるふたり。湖の底にあった古い銅像に触れるように、エリオに触れるオリバー。初めてキスをして触れ合うも、それ以上は思い留まるオリバー。

***

 

このシーンの前、エリオはオリバーに、ママが読んでくれた『エプタメロン』の話題を振ります。彼は当然のように概要は知っていて、エリオが話したかった(であろう)「speak or die」というキーワードを先んじて出してきます。

話すか、死ぬか。エリオは話すことを選んだのです。

つまりは「貴方は特別だから、僕が知らない何もかもを全部教えて欲しい」と。これはどうしようもなく切実な愛の告白であり、その無防備さはさながら五体投地のようです。

 

***

家に戻ってのランチで鼻血を出してしまうエリオ。オリバーが心配してくれたことが嬉しかったのに、その後彼は行先を告げずに出かけてしまう。

オリバーと同じ星のネックレスを着けたのに。

夜中に帰って来た彼の物音に、寝たふりをしながらエリオは小さく「裏切者」と呟く。

 

少し距離を置かれただけで寂しさが募り、エリオはオリバーに何度も推敲したメモをそっと送る。気付けば返事が自分の机の上に置かれていて、それから一日中腕時計ばかり見てしまう。約束は真夜中で、今はまだ陽が上ったばかり。

何気なさを装い、ガールフレンドとデートをしたり、不本意ながらも来客の相手をしているうちに夜がやってくる。

ついに抱き合うふたり。オリバーの提案でお互いに名前を交換して甘く囁き合う。

 

翌朝、エリオもオリバーも複雑な表情を見せる。それでも街に行ったオリバーをエリオは追い、正直な気持ちを言葉で伝えあう。

 

家にひとり戻ったエリオは、屋根裏の秘密基地で昨夜を思い出しながらひとり自慰をする。さっき捥いだ桃を使って、果汁を胸に滴らせながら。

そのまま眠ってしまったところにオリバーが現れる。していたことに気付かれ、泣きじゃくるエリオをオリバーは抱きしめる。

 

こうなるまでの時間の長さと、残った時間の短さを嘆きながらふたりは一緒に夜を過ごす。

***

 

オリバーから返事が来ていた時のエリオのリアクションの可愛さたるや。

あと、エリオは自分からオリバーがいるバルコニーに向かって自分の決心を見せるのですが、そこから服を脱ぐまでの表情の変化!

 

そしてこれこそ、ラストシーン以上にすべきでないネタバレかと思いますが書きます。

この映画のレーテイングはUKではR15で、パッケージにはその理由が書いてありますが「Strong Sex」とのこと。実際は全く強力ではありません。というか、エリオとガールフレンドのマルシア、エリオとオリバーのそのシーンがありますが、カメラがパンしたりで全然見えません

どこかの映画評論家がこの映画のアフタートークショーでとある映画と比較して、「ラブシーンが気持ち悪くなかった」とか言い放ったそうですが、どちらの映画も、きっと私が観た作品とは違うものをご覧になったんでしょうねっ(毒)アハハッ!

あと、「ラブシーン」って単語、なんか変では?特にこの映画ではふたりが出逢ってから全部ラブシーンですし、あの映画もふたりのシーンは全部そうでしたよ。

 

🍑桃のシーンですが、これは予想以上に美しく、エリオが自分の恥と弱さをオリバーに晒す象徴的なシーンでした。恥ずかしいのに強く興奮している、という性愛上の心理状況がふたりの間に準備なく出現します。

この時のオリバーは一旦少し残酷にエリオをからかうのですが、それを直ぐに止め、エリオから溢れる様々な気持ちすべてを受け入れ抱きしめます。恥(の喚起)をセックスの前戯に出来るほどエリオは大人ではないこと、駆け引きではなく、すべて純粋なオリバーへの恋心からしていることを思い知ったのでしょう。

 

*** 

(※繰り返しますがラストシーンは全部書きません)

やがてオリバーの帰国が迫り、ふたりは数日間の旅に出る。みんなに見送られてバスに乗ってしまえば、もうふたりきりの世界。

お互いを呼ぶ自分の名前が、ハイキングに行った谷間に、夜の街角にこだまする。

 

短い時が過ぎ、オリバーは列車に乗って帰国の途に。手元に残ったのは、オリバーがくれた青いシャツとふたりだけの秘密の思い出。

 

季節が巡って冬が来る。

雪景色の別荘でエリオが電話を取ると、それはオリバーからだった。

飾らずに「I miss you」を伝え合うふたり。

でもその電話はオリバーから恩師であるエリオの両親への婚約の報告。

エリオは受話器に囁く。自分の名前を。あの夏の、初めての夜のように。何度も、何度も。

オリバーも喘ぐように自分の名前を言う。そして

「全部覚えているよ」と。

 

***

エリオの寝顔を見ながらベッドの端でも、駅のホームでも、オリバーは逡巡を見せます。必死で涙を堪えているエリオには 何も言えないまま、オリバーは列車に乗り、去って行きます。

 

夏から冬まで、エリオはオリバーのいない世界を生きています。その間に考えていたことなのか、両親からの話題なのか、オリバーの電話の用件をエリオは言い当ててしまいます。そしてそれが正解と知ると、自分たちのことを両親は気付いていると、ちょっと意地悪に言ってしまうのです。オリバーもそれを認めます。

 

エリオの両親ですが、パパに関してはオリバーが去った後のエリオを慰めながら、ふたりに友情以上の何かがあることに気付いていると話します。そして「痛みすら消さず引き受けなさい」と。

ママはエリオに「オリバーはあなたのことが、あなたが彼を想う以上に好きなのよ」と焚きつけるようなことを言っていましたし、オリバーを見送って脱力した泣き顔のエリオを迎えに来てくれます。なんと進歩的なご両親。

 

このご両親の在り方は原作に則っていると思いますが、ひとつ、原作から改変されていて正直残念だった点があります。それはエリオのガールフレンドのマルシアです。

原作のエリオは彼女とオリバーの両立を然るべきこととしていましたが、映画では完全なる当て馬、負け役、間の悪い子として描かれます。特に顕著なのは、エリオがオリバーから貰ったシャツを着て浮き立っている朝に彼女が現れてするやり取りです。そのせいでエリオが原作よりもややゲイセクシュアルに寄って見えます。そこが狙いにも感じられましたし、思い出せば脚本はジェームズ・アイボリー翁(89)。彼の他の作品にも感じられる微妙なミソジニーがこの映画にも現れています。オスカー受賞の御大に向けて極東のくそBBAから誠に恐縮ですが、翁が得意な19世紀の女性像のようで、あいにく古いと言わざるを得ない。たとえ1983年が舞台でも、ゲイ礼賛のために女を下げるのは安易でした。それをせずともエリオがオリバーを「男だから」ではなく「オリバーだから」好きで、誰とも比べていない、比べることすらしようとしていないのは明白でした。

 

ただ、エリオの部屋=オリバーが使っている部屋にはロバート・メイプルソープのセルフポートレートが飾ってありました。調べたところ、1983年は彼の初写真集「Robert Mapplethorpe」が発売されたばかりです。美術史家を父に持つエリオが最先端のアートにも造詣が深いことには驚きませんが、男性器を果実のように、花を性器のように写すセクシーでセンセーショナルな作品群とゲイを公言していたメイプルソープの、その本人の写真を自室に、しかも例年来客が使う部屋に飾る、というのは17歳にはなかなか挑発的な行為です。やはりエリオは傾向としてゲイである、ということなのでしょうか。博識なオリバーはあの壁の写真をどう感じたのでしょうか。

 

"Two Men Dancing" by Robert Mapplethorpe, 1984

「robert mapplethorpe」の画像検索結果

30年以上を経ても十分センセーショナルですね↑

 

 

このエントリを書いてから、英語を母国語とする人と「remember」という動詞について会話しました。英語は自動詞としての「思い出す」と他動詞としての「覚えている」をひとつの動詞で共有しているので、都合が良いというかなんだか少し狡い気がするのです。

きっかけがあって思い出したなら(たいていは)時制を変えるのでしょうが、自分の語学レベルのせいもあり、この映画に関わらずこの動詞が出てくると、いろいろ腑に落ちないのです。

果たして継続的に覚えていたのか、そういう前までに思い出し(終え)たということなのか。

日本語も堪能なその人は、私の感じる時制的な違和感についてよく理解してくれた上で、「remember」は「ひとつの『忘れていない状態』であると考えると良い」とアドバイスしてくれました。

それを踏まえて、また前後の文脈も自分なりに咀嚼して、原作でのオリバーの言葉と、映画でのオリバーの言葉を違うものと捉えた自分の感覚をここにはそれぞれ、そのまま記録しておきます。

 

 

桃源郷伝説をヨーロッパの人がどう捉えているのかは知りませんが、何度も象徴的に出てくる桃を見てしまうと、私の中では切り離すことは出来ません。

女性の描き方については前述の通りの感想ですが、この桃源郷を想う部分、ふたりの追憶と再会まで描かれた原作を、J.アイボリー翁は桃源郷での出来事とその対比としての冬、電話での会話だけに絞ってエピソードを詰め込んでいます。その編集手腕の見事さには感服します。ティモシーくん本人の消えゆく少年性の輝きを、エリオ(17)として完璧に記録するのだという翁の気概と監督の美意識が見事に結実していました。

私の好きなシーンに、プールサイドで寝ころんだふたりの

「Are you sleeping? (寝てるの?)」

「...I was.(・・・寝てた)」

という、何気なくて気の利いた会話があるのですが、これ最近気づきましたが、原作とは話者が逆ですね。微睡んでいるのですが、好きな人の声だから起きてしまうとても可愛いシーンです。こういう脚本テクニックは本当に素晴らしいと思います。

 

***

桃源郷とは(Wikipediaより)

陶淵明の作品『桃花源記』が出処になっている。桃源郷への再訪は不可能であり、また、庶民や役所の世俗的な目的にせよ、賢者の高尚な目的にせよ、目的を持って追求したのでは到達できない場所とされる」

***

 

あの「北イタリアのどこか」は、ふたりの桃源郷でした。

オリバーはもちろん、エリオもあの夏そこを出てしまいます。桃源郷は行ってみたいと思っても辿り着けない、戻りたいと思ってももう戻れないのです。

 

 

続編が望まれる映画には、大ヒットしたという経済的な理由の他に、回収していない伏線があったりしますが、この映画がそれを望まれるのはひとえに「エリオには幸せになって欲しい」と観た皆が思うからでしょう。

予定されている続編ですが、あの桃源郷にはもう誰も戻れないはずなので、ふたりの間の現実的な時間の経過を描くものになるのでしょうか。それが原作を離れてしまうものでも、エリオとオリバーにまた会えるのは楽しみです。

 

(W Magazineより)

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フリルは反則です。

 

【注文と納品】

PAL2 DVD 8.32GBPをAmazon UKに発売日以前に最速配送フラグで予約、発売日3/5に現地出荷、日本時間3/7には受領可能でした。(自分都合で翌日受取)

配送取り扱いはDHL、さすがのクオリティ。通関後、国内出荷の準備が整うとSMSで伝票番号が送られて来ました。出荷から正味3日で受け取れた上にwebトラッキングが詳細、さらに国内に入ってからの配送先変更なども電話で柔軟に対応してもらえました。このグレードでの配送の場合、DVD一枚でもポスト投函はNGで受領サイン必須なので、今回は自宅から勤務先に配送先を変更して受領(これが許される勤務先で良かった)。

もちろん送料はお高くて22.48GBP。つまり合計5,000円弱のお買い物ですが、とにかく待ちきれなかったので自分の価値観では全然ありです。

 

 

英語字幕と、聴覚障碍者向けの字幕が選べましたが、あまり美的でないフォントを使っているので、美しい画面を非常に阻害します。(タイトル&エンドロールの雰囲気と同じでちょっとレトロな感じにしたかった・・・のか?)

また、登場人物が皆英語とイタリア語、シーンによってはフランス語とドイツ語も自在に使いこなすので、そこを注釈無く一律的に英語字幕で観てしまうと、ちょっとフラットに感じられて違和感がありました。エリオの方がオリバーよりイタリア語が圧倒的に上手だったり、ママがエリオにフランス語で呼びかけたりしています。マルシアはエリオに度々フランス語で話していましたので、彼女もまた地元の子ではなく、例年ここに訪れる長期リゾート滞在客ということでしょうか。

英語は東海岸っぽい気がしました。会話そのものは比較的シンプルですが、言語が交錯するのと、登場人物が皆インテリなので引用や固有名詞が多く、そこは難易度高でした。

 

(おまけ)

鑑賞前に読んで面白かったGTの記事を貼っておきます。

この記事自体、英国公開後のものなので当然のようにネタバレしていますので訳しませんが、カッコ内が記事のニュアンスです。

「『Call Me By Your Name』に関し貴方の批判が間違っている理由」

1.年齢(17歳の性行為は推奨されるものか)

2.ゲイセックスへの検閲(ソフトに見えるのは検閲のせいか)

3.AIDSの不在(1983年のセーフセックスについて)

4.特権階級では?(リゾート地でのこの一家の生活について)

5.ゲイの役をストレートの俳優が演じてる(ゲイの俳優の仕事ではないか?)